定光寺から犬山城へと繋がるロングトレイルがある。
距離が長過ぎて一気にトレイルランするのは難しいかな?と感じていたコースを、勇気を出して走ってみた。
結果、44km・9時間半のトレイルランニングになった。
瀬戸の定光寺駅、あの定光寺公園から10分ぐらいの距離にある無人駅。
15号線沿いのパーキングスペースに車を停めて、廃墟ホテルを見ながら城嶺橋を渡る。
中央西線が通っていくよ、あれに乗って定光寺駅に戻ってくるのは何時間後になることやら。
8時に東海自然歩道のゲートを潜る、玉野園地と玉野御嶽神社でネコに迎えられつつ、道中の安全祈願。
季節が良いしGW連休中だし、ハイカーが多いし、なんとトレイルランナーが他にもいっぱい。
初めてのコースだが、案内を確認しつつ歩けば迷うことなく、足元も整備されている。
最初の難関は檜峠の登り階段、アスファルトの道路から東海自然歩道に再度入ろうとして登場してくる。
標高429mの道樹山、ここまで登りが続く、頂上で一休み。
春日井三山(道樹山・大谷山・弥勒山)は歩きやすいコース、低登山として人気なのが分かる。
大谷山・弥勒山を縦走気分、弥勒山の展望台からの景色がこの44kmで最高の景色だった。
山頂には人も多く、賑やかで、華やかで。
弥勒山からは下り道、足元に気を配りつつ一気に駆け降りる、打って変わって人の少ない静かなコースに。
内津最終処分場を過ぎて、不思議な螺旋階段(これも東海自然歩道!)を降りる。
この辺りでライバルトレイルランナー集団を先に行かせた、練習不足で自分の走りにキレがない。
内津峠のだらだら坂を登り切り、高速道路にかかる橋を越え、大沢グランドへ。
合材工場が見えてきて驚く、これもまた東海自然歩道なのだと。
ここまでで3時間ぐらいかかっている、我ながら身体が重い。
緩やかな下り道がずっと続く、体力がある人なら一気に走れる爽やかなトレイルランコース。
小牧市と犬山市の市境を見つけて記念写真。
八曽の里キャンプ場までも、本来は一気に駆け下ることができる。
光の眩しい林道、フラットだし、人は少ないし、トレイルランナーには上々。
川の水の不思議な色、写真に撮っては色が変わってしまうが、肉眼で見るとなんとも深い色。
疲れたランナーの視界に入ってくる、スタートして初めての自動販売機!
ここが八曽モミの木キャンプ場、ポカリスエットを飲み、手持ちの水を補給、トイレもある。
今日はジェルやバーを多数持ってきた、長丁場なのでカメラはα7Cは大きくて遠慮しEOS M200を握りしめて。
五条川沿いを走って入鹿池へ、途中で美しく咲いていた藤の花。
これも写真では伝わらないが、入鹿池の水の色は目を引く深い緑色。
49号線から橋を渡って、鞍馬山教会方面のほどほどな登り連続道へ。
地味な道を開拓パイロットまで、面白いネーミングだが開拓者?も飛行機?も見えず。
今井の住宅地に降りてくる、のどかな風景に変わる。
平谷池を越え、善師野駅方面へ、この辺りでルートが分かれるが今日の最終目的地は犬山城。
熊野神社が目印になる、疲れていてこの階段を登る気にはなれずスルーした。
お寺の裏山的な道を抜けて、また爽やかな林道を抜けると大洞池、また不思議な池の色。
大洞池から寂光院へはずっと登り坂、最初は緩やかに、継鹿尾山に入ってからは急階段が3つも続く!
疲れ切っているところ、継鹿尾山がラスボスだ、岩場チックな箇所もあり、急勾配が続く敵地。
流石の急勾配を上がり切っただけあって、いよいよ犬山城がお迎えしてくれた。
寂光院(もみじ寺)を下からではなく、上から訪れる珍しさよ。
ゴールが見えてきているが、疲れ具合はかなりのもの、写真を撮って遊ぶ余裕もない。
ユースホステルの丘を越えて、木曽川沿いを歩き、犬山橋に名鉄電車を撮る。
木曽川沿いの遊歩道をゆっくりジョグして、犬山城の足元へ。
登城できる時間帯はとっくに過ぎていたが、なんとなく犬山城へと吸い込まれる。
改めて見ると、見事な石垣に空堀、規模は大きくはないがしっかり遺構が残っているのね。
三光稲荷神社の鳥居は無人で、いつもは撮れない一枚も撮れた。
定光寺から犬山城まで44km、9時間半のロング・トレイルランニングだった。
ウェブを見るとこのコースを7時間ぐらいで駆け抜ける方もいるようだが、この日の私はダメダメでした。
とはいえ44才で44kmを歩き走り通せたことは自信に繋がったよ。
マイペースとはいえ、限界を決めず何事もまだまだ挑戦できる。
帰りは電車を3つ乗り継いで定光寺駅へ、長くて楽しいトレイルラン遊びだった。
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2020年4月6日
前回、もう10年も経つ話になるが、ここ瀬戸の定光寺に一眼レフカメラを携えて撮影に来た時には、
美という美を見つけることができなくて、定光寺に後ろ足で砂でもかけるように去ったものだった。
その時の未習熟な写真はこのページの一番下に残っている、恥ずかしいがミステイクはミステイクとして残しておこうと思った。
それが、桜満開の季節、正直時間合わせというか片手間に立ち寄った瀬戸定光寺、僕はようやく本物を見分けることができるようになったのかな、瀬戸定光寺の美を見つけることができました!
100円を払って、瀬戸定光寺に隣接した尾張徳川家の廟所・源敬公廟へと入る。
すぐに出迎えてくれた鬼瓦はその昔に写真を撮ったものと同じだった。
まぁ同じものでも撮っておくか、とばかりカメラを向けて、そのうちにテクニックに走って望遠レンズで西日と鬼瓦を撮影して、
僕のカメラの腕も上がったものよのぅ、と呑気な僕。
木々の緑を背景に桜が咲いていたので、フルサイズ一眼レフと単焦点レンズを駆使して桜の切り撮りに無心になった。
それが結構面白くて、「瀬戸定光寺はまぁまぁの桜見所ね」と気分が上がっていた。
足を進めて門をくぐり、正面に迎える中国風?唐門?に目を取られていたが、ふと右横に視線を流すと、ちょっと意外な存在に驚いた。
形も枝振りも良く、サイズが大きな桜の木。
見事な満開ぶりは、最盛期の幅のうちに瀬戸定光寺を訪問した僕のリサーチ勝ちなのだろうが、意外だったのはその存在力の大きさだった。
僕以外の観光客は無人の静かな廟所で、桜の木と僕は一対一、全面的に向かい合ったのだ。
派手な言葉で飾ると、静かなのに春の光に満ち溢れている桜はえらく美しかった。
巷にいたら大勢の観光客に握手されて写真をせがまれるような美しい人が、
「あら、偶然出逢いましたね」とばかり、それは突然に僕と一対一で向かい合った。
満開10割に達して、風がふくと桜の花びらが飛んでいく日。
会話も音楽もなく、互いに口を閉ざして相手に対峙した僕と桜、それは深い時間だった。
何も考えることないのに、僕はただ一言心の中で呟いた、「光栄な時間だな」と。
元々が厳かな舞台で、季節の最高潮の相手に、一対一で向き合った。
そんな贅沢なシーンは他にあるものでもないし、何しろ微塵も期待していなかった場所で思いがけぬ美しい人に遭遇する。
カメラのグリップを握りしめていた指を離し、活動的な写真タイムを停止し、
目を閉じて流れる風と桜の花びらを感じて、その光栄な時間を深呼吸から肺の中に吸い込む。
忘れないように、僕の記憶のマスターピースの中に閉じ込めるように。
この桜と瀬戸定光寺の写真から、そんなシーンが読み取れるだろうか。
きっと僕は、この桜写真を見る度にあの数十秒のことを思い出すに違いない。
思いがけない美に心奪われた、僕の瀬戸定光寺。
いやそもそも源敬公廟は瀬戸定光寺の一部ではなく、別物だと。
尾張徳川家の藩祖である徳川義直(徳川家康の九男)を祀る源敬公廟、本来は写真撮影スポットでもないが、僕は美を見つけてしまったから仕方ないね。
メインの瀬戸定光寺境内には、大きな枝垂れ桜があり、撮影するには広角レンズが必要で、またアングルが難しい被写体になる。
近隣は常光寺公園になっていて、東海自然歩道もある景観地だから自然は豊かで、桜や紅葉の名所だ。
僕のように間違って常光寺参道下の駐車場に車を停め、尾藩祖廟とある見事な石案内や橋に誘惑されて
階段下から上の常光寺まで歩こうとすると大間違い、かなりハードな階段上がりゲームになる。
もっとも、その石段の途中にある石仏や季節の花々は見事ね、一見の価値はあるのだが。
こんな出来事を通じて、僕は本物の瀬戸定光寺に触れた気がした。
(繰り返すが、源敬公廟は瀬戸定光寺の一部ではない)
まぁカメラマン的には満足な一枚が撮れればその場所のイメージはぐっと上がる。
瀬戸定光寺と一帯が桜の名所としても、毎年訪れてはこの感動も薄まってしまうのかな、
ならば程々の距離感を保つために僕は5年なり10年なりの時間を空けてから、再訪の機を伺うとしよう。
それまでずっと長らくこの日の桜との美しい出会いを忘れずにいようと思った。
2009年撮影の瀬戸定光寺の写真、駄作ですのでご一笑ください
どこか異国風のゲートをくぐってみようじゃないか
違和感があったのは、中国の儒教様式にできているから
尾張藩の徳川義直公を奉っているため、強烈な葵の御紋です
この紋所を見せられたら、もうひれ伏すしかありません
名古屋の奥座敷と歌い上げられた景勝地・定光寺
駐車場から続く果てしない石段を昇り切って、逢いに行こう
これぞ鬼瓦!という、恐ろしい形相です
土の匂いを感じる色に仕上げて見ました