初夏の早朝4時半、御射鹿池での写真撮影は刺激的な体験だった。
予想以上の成果が出た、下の傑作写真が撮れたことで満足度が激しく高い。
水面のブレが少なく、神秘的な色合いが出る早朝、陽がないうちを逃さず、カメラを構える。
朝でもダメ、日中なんて全然ダメ、リフレクション狙いだから夜景撮影でもない。
4時半からわずか30分しか好機がない、限られた季節・限られた時間帯。
そのチャンスを逃さず、三脚とカメラと自分の技術をフル活用して御射鹿池と向き合った。
それも初めての御射鹿池の訪問、誰に教わることもないのに、
タイミングを間違うことなく、最良の瞬間に最高の被写体へレンズを向けることができた。
闇の中に手探りで歩いていたら、最も欲しい宝をピンポイントで拾い当てたようなもの。
自分の幸運さというか総合的な写真技量にちょっと感動した。
陽が上ってしまうとダメだ、そのわずかな時間帯こそが御射鹿池タイム。
5時になると太陽が上空に出てしまって光がイマイチだ、サンセット直後だけに贅沢な時間が訪れる。
湖面の反射が最も濃いのがサンセット直後ということを肌で実感した、太陽の光が強過ぎても写真には向かない。
一枚の写真に永遠の思い出を織り込む、忘れがたき御射鹿池の早朝写真。
カメラマンとして、自分の自信につながったな、この瞬間に立ち会えた喜び。
写真が撮れたこと以上に、これら季節と時間帯と被写体を調べ上げて実行に移せたことが、写真撮りにとっての勝利だったよ。
御射鹿池(みしゃかいけ)への行き方
・中央道の諏訪ICから、152号〜291号(湯みち街道) 次第に山の中に入っていく |
・道の横に普通に現れる御射鹿池(ただの池っぽくて、見てもわからないかも) |
・ありがたいことに駐車場がある |
輪郭は浮かび上がってきたばかり、まだ何も手にしていない。
早朝の御射鹿池の画像は淡い気配を泳がせていた。
その様に思わず引き寄せられ、僕は水面を渡る。
正直になった心が思い返していたのは古い恋、鏡の水に映ってきた鮮やかな姿形の人。
早く若い二人だったから、心の底まで御射鹿池に透けていたのでしょう。
何は無くても、分かり合って、互いの想いをぶつけ合った。
技のない青い時代に、どうして、どうしてそんな眩しい閃光が。
誤って割れると立ち消え、その後に出た陽の明るさに存在が流れた。
始まりの前、恵みの霧、悔やんでも戻ることのない新緑の御射鹿池。
死ぬまでに、もう一度だけ逢いたい気持ち。
美しい追憶から顔を上げ、日中の道を走ろうとする、心乱れたままで。