苔の唐招提寺は、奈良の名刹の中でも何か異なる、それが文化なのか色なのか信仰の種類なのか、
具体的には分からなかったが、独特の個性があるお寺だということは覚えていた。
鑑真という当時のスーパースターお坊さんが開基であるから、唐からの帰化僧である鑑真ならではの唐文化、もしくは戒律に基づく違いなのだろう。
この苔庭と土壁が、カメラマン目線からの唐招提寺の最大の見所であり、フォトジェニックな写真撮影スポット。
もちろん梅雨時が最も色美しい苔庭、そして晴れの日よりも、光がフラットな曇りの日に撮るべし。
山門を抜けて正面から金堂に向き合うと、ここまではまだ他の奈良時代のお寺とそう違わない。
そして、金堂内の千手観音立像ほかの国宝仏像群を前にすると、仏像の美しさに圧倒された。
薬師如来の足場になっていることが多い蓮の花、唐招提寺は蓮の名所でもあった。
金堂は奈良というか天平建築を強く感じさせる唐招提寺だけど、その先からは個性が目立ってくる。
遣唐使船に乗ってやってきた鑑真は、この唐招提寺を立ち上げると、わずか4年で亡くなっている。
その4年間の間に築いたものが、1,300年を経て今に伝わっている、残っているとは。
鑑真和上御廟へと歩いていくと、こんな土壁と門が見えてくる。
東大寺付近にも似たような土壁はあったが、木々の下で見る土壁は素朴でいてキレイ。
門をくぐった先が、唐招提寺のオリジナリティ溢れる厚い苔の絨毯。
C-PLフィルターを効かせ、じっくりと狙い澄ましてシャッターを切る。
その苔庭のすぐ先にあるのが鑑真和上御廟、この御坊があの苔の美しさをもプロデュースしているのか。
土壁はえらく庶民的で、生々しい。
苔の庭か、苔の海か、苔の天か。
鑑真が唐から日本へと渡海する際に5回も船を阻まれた海みたいだな、と思いついた。
まぁ、そんな意味が込められてはいないのだろうが。
他の南都七大寺と比べると、建築物同士の距離が近いような気がする。
敷地面積の問題か、まぁこれでも広い境内なのだが。
唐招提寺の奥の方、あまり歩いていかない場所にもなると、なんだか今も奈良時代か?と勘違いしそうな場面に出会う。
蓮の花が並ぶ唐招提寺は良いね、咲いた花を見ると悪い心が諌められる気になる。
写真は撮れないが、国宝唐招提寺鑑真像を拝み、先人たちの鑑真へのリスペクト度を感じる。
奈良の天平文化と、唐文化と、鑑真のセンス(でもこの時すでに両目を失明されていたから見れなかったか)を呑み込み、独特に生まれたのが唐招提寺。
唐招提寺の山門前の雰囲気も素晴らしい、並木が魅せている。
歩いていける距離にある薬師寺と合わせて、西ノ京の名刹・唐招提寺。
2008年撮影、奈良唐招提寺の写真
奈良のお寺は、アートの機能も備えているところが多い
中でもほら、この唐招提寺のアートレベルは、この通りさ!
5月の唐招提寺で咲く瓊花は有名です
上の白いお花の写真ね
このお寺を建立した鑑真の故郷・中国に咲く花なんだ
講堂の端から端を見る
間の暗闇はほら、仏像の宝庫だったんだ
お寺での修行って、こういう美感覚を磨くこと?
きれいな道ね、仏の教えがなせるわざでしょうか
ここ唐招提寺まで来たなら、近所の薬師寺も是非行ってみてよ
違う美を楽しめるし、歩いていける距離にあるからさぁ