ロストバゲージは200人に1人が遭遇する と言われています。
多くの出張者を迎えてきたアメリカ駐在員の私の感覚からしても、
「0. 5%の確率」は肌感覚としてしっくりきます。
徒然なるままに(そうヒマでもないけど)、データで確認してみました。
飛行機で、2017年の1年間に、全世界で40億人が移動した
1年間で、全世界で2,400万件のロストバゲージが発生した
24,000,000 / 4,000,000,000 = 0.6%
凄い!こんなに桁数が多い数字なのに確率が大体が合う!
大数の法則ってヤツね。
さて、この0.5%の確率のロストバゲージが自分の身に発生した時、
どう対応すれば良いのだろう? というのがこのページの主題です。
ロストバゲージ対応方法(基本)
航空会社カウンターに行く
注)ターンテーブル近くにあるバゲージカウンターのことね
バゲージカウンターがなかったり、人がいない時は、チェックインカウンターに行く
出発空港でもらったバゲージのタグかシールを見せる
ホテルの名前・住所、自分の携帯電話番号、いつまでそのホテルにいるのか、
スーツケースの種類(ハードケースかソフトタイプか、色、特徴)を伝える
手続きが終わると、航空会社がファイル参照番号を発行して終わり
NRTJL12345 といった英数字
最初3桁が処理した空港コード、次の2桁が航空会社コード、最後に5桁の数字
この番号があれば、航空会社のウェブやアプリから最新情報が取得できる
参考)日本航空のウェブサイト・ロストバゲージについて
https://www.jal.co.jp/inter/baggage/search/
ただ、ワールドトレーサーと呼ばれるロストバゲージ追跡システムはイライラが募りがち。
ずっと「引き続きお手荷物を捜索しております」の表示のままになることが多く、
○月○日○時現在、○○空港の○○に、
という詳細案内は期待できません。
システム上で「到着しました!」となる前に、ホテルに到着することもあります。
気長に待ちましょう。
航空会社に電話問い合わせをしても、航空会社職員も同じシステムで見ていて、
同じことを回答されるだけです。
勝手に荷物を無くしておいて、更に今どこにあるかも分からないなんて、
と激怒してクレームしたくなる気持ちは分かりますが、
なにしろ0.5%の確率で発生 = 1日に何十人も何百人も発生するロストバゲージ。
空港勤務の航空会社職員にとっては、日々発生する「いつものこと」です。
航空会社が親身になってロストバゲージを対応してくれるとは思えません。
まして海外でのロストバゲージならば、英語でクレームする高度テクニックは難しいですし、
言ったところで荷物の到着が早くなることもない・・・と諦めモードに入ってきます。
ロストバゲージ対応方法(オプション1)
航空会社カウンターでファイル参照番号をもらうところまでは同じですが、
ホテル宛に発送してもらうのではなく、「自分で空港に取りに来ます」と伝えます。
航空会社から地元の配送会社を通じてホテルに届くまで、
数時間~半日の時間が余計にかかりますから
急いでいるのであれば、自分が空港に取りに来たほうが早い!となります。
ロストバゲージ対応方法(オプション2)
その都市に1日程度しか滞在しない、ということであれば
ホテルに送ってもらっても無意味なので、3-5日先に滞在する都市のホテルか、
最後の手段は日本の自宅の住所を伝えて送ってもらいます。
さぁ、どうでしょうか。
自分は何も悪くないのに、旅行先にスーツケースが届かないという悲報が
突然舞い込むロストバゲージ!
そこに航空会社の侘び金や謝罪はほとんどなく、
100%自分が損害を受けるだけで不平不満は最高潮に!!
誰かに八つ当たりしたくなる気持ちは高まるばかり!!!
天からのお告げです。
あなたはロストバゲージで悪運を使い果たしました。
金輪際、こんな悪い出来事は二度と起こらないでしょう。
(という気休めをあなたへ送ります)
わたしも自分で体験したことがある。オーバーブッキング。
何故かビジネスクラスに座れたよ。
あれは成田からパリに飛んだエールフランスだったかな。
「わたしはオーバーブッキングっていい記憶しかないよ。
向こうの間違いとか読み違いもたまにはいいんじゃない?」
でもケンはそうじゃないみたい。
なんかイヤなもの食べたみたいな顔をしてこう言うの。
「それは運が良いオーバーブッキングに当たったからだよ!
僕はノースウエスト航空にやられたよ。
予約がとってあるのにチェックインが遅れたものだから乗せてくれなかった。
上に上がるどころか搭乗拒否で別のフライトに振り替えさ」
「えぇ~。それってヒドくない?チケット買ったのに乗れなかったの?」
「そうだよ、だから僕はオーバーブッキングってキライだよ。
ビジネスクラスやファーストクラスにあがるどころか乗れないこともあるんだからね」
そうか、それも考えなくちゃいけないんだ。
でも予約OKの人を乗せないなんて本当にヒドイ。
許されてはいけないことだよね」
「ケン、航空会社のそういうオーバーブッキングの席数調節している人と話したことはある?
どんなこと考えてやっているのか一度は知っておきたいね」
「直接はないけどね、営業の人たちからたまに聞くよ。
仮に席数が100あったとして、予約自体は前々では110ぐらいOKにして、
直前になるにつれそれがどんどんキャンセルになったりして
上手く100ぐらいに収まるらしい」
「えっ、なんで100席しかないのに110席も予約をOKにするのかって?
それは彼ら航空会社もビジネスだから必死さ。
100席に対して100席しか予約を受けていなかったら、
直前でキャンセルとか出た時に彼ら航空会社が困ってしまう。
直前になって予約が入ってくるとも限らないし、とにかく航空会社としては
その当日の100席をどれだけ100席に近くするのかが仕事だ。
旅行商品はその日その空間を売らないとただの空気となってしまうものが多い。
電化製品や缶ジュースみたいに今日売れなくても明日売れればいい、というものではないんだ。
航空会社もそのビジネスクラスに座ってくれる人がいてこそ金が入ってくるが、
オーバーブッキングせずに予約率が100%を切ってしまったら金は一銭も入ってこない。
だから大違いなんだよ。
それならば統計を取って当日は100%ちょうどに予約者と席数を
コントロールしてゆかないとどうにもならない。
彼らの立場とすればやりたくないかもしれないけど、やらないとメシが食えないんだ」
ケンはいつになく饒舌に語ってくれた。まるで航空会社の回し者みたいに。
「それは分かるけど、旅行者たちに取ったら怖いよね、オーバーブッキングって。
わたしみたいに上に上がっていい思いすればいいけど、
ケンみたいにおろされちゃうのって最悪。どうにかならないの?」
「ムリだよ、このオーバーブッキングのシステム・発生原因はなくならないだろうな。
エコノミーとビジネスでは今度も繰り返されてゆくよ。
でもファーストクラスはないよ。
ファーストではオーバーブッキングはできないからね。
オーバーブッキングしてもその上のクラスはないし、
ファーストに乗るような人たちに他のフライトに乗ってくれなんてお願いできないでしょ。
大問題になるからね」
「あーなるほどねー。ファーストではオーバーブッキングはないんだ」
「そう。あとは当日空港でのチェックインだよね。
僕みたいに出発の1時間前に国際線チェックインクローズギリギリに
来ちゃうと危ないと言われているね。
2時間前とかにチェックインしておくとそういうこともなくて最後の方が降ろされる、と聞く。
いや、もしかしたら最後の人は上に上がるかもしれないから
ある意味おいしいかもしれないし。賭けだよね」
「えー、それって本当に一か八かでしょ。
上にあがるか、逆だったら乗れないってことでしょ?」
「まぁね。あとは事前に座席番号取っておくことが大事。
それと、オーバーブッキングになったら料金を安く買っている人からどかされるとも言われる。
マイレージの上級会員だったら狙われることも少ないと思うよ。
随分前は名前でアジアっぽい人が降ろされたり、
お金を上げるから他のフライトにしてくれと言われたり、みんな交渉ごとだよ」
「聞くねー。500ドルあげるから翌日のフライトはどうだ?とか、
ビジネスにするから他の便でどうだ?とかでしょ」
「そうそう。今はもう旅行者が合意しなければキャリアが
他の便に強制的に振替える、ということはできないと思うけど、
昔は結構強引にされていたんだ。
未来の航空業界でもこのオーバーブッキングは避けられないよ。
その日売れなければただの空気を目的地まで運ぶだけなのだから」
ケンは言った。オーバーブッキングのこと。
わたしも内部事情を少しは分かった気になったよ。