長篠ダムをスローシャッターで撮影した写真の、なんと艶やかなこと、美しいこと。
読めないよ「長篠堰堤余水吐」は、「ながしの えんてい よすばき」とお読みするのが正しいらしい。
平たくいうと「長篠ダム」ね、それっぽくすると長篠堰堤(ながしのえんてい)が限界。
カメラマン目線から書くと、長篠ダムは普通のシャッタースピードではなく、数秒でも0.5秒でも良いから、スローシャッターで撮るのが面白い被写体。
つまり三脚必須だ、足元の岩に直置きもできるが、ある程度の高さが必要。
そして、撮影できる角度というかシーンは1つしかないから、例え季節・時間帯・気候を変えて何度訪れても、きっと撮れる写真はワンパータン。
カメラ設定を微妙に変えることでの写真変化を得ることはできるが。
長篠堰堤・長篠ダム・長篠の滝、あぁどう呼べば良いのか悩む・・・。
とにかく発電所として活用されている長篠ダムは、日本三大美堰堤(日本三大小規模ダムという意味)とのこと。
ダムだが、パッと見は滝を連想するので、滝といえばナイアガラ、だから長篠ダムは長篠のナイアガラ、奥三河のナイアガラということになる。
花の木公園の駐車場に停めたら歩いていくことができる。
グーグルマップで「長篠堰堤」をナビに入れても、ダムを挟んだ対岸側を差してしまうので注意が必要だ。
「花の木公園 釣り堀センター」でナビ検索して行く方が良い。
更なる注意点は、長篠ダムの手前に安全な遊歩道や展望台は皆無。
花の木公園を抜けた先の、荒々しい岩の上からしかナイアガラ長篠を拝むことは叶わない。
子供連れなら特に注意して欲しい、それと三脚を持ちながら横移動する時も。
いくらスローシャッターが夕方暗くなった時に威力を発揮するから、と暗くなってからの撮影は本当に危険で、岩から滑落したら絶望的。
NDフィルターを使用しても日中スローシャッターで遅いスピードを稼ぐのも限度がある。
だから陽が落ちた夕方、暗さが来る前の限られた時間帯に長篠ダムを僕は訪れた。
C-PLフィルターとND500フィルターを秘密兵器に、カメラは三脚に固定してスローシャッターに勤しむ。
成果はこの写真の通り、それはそれはカメラマン冥利に尽きる成果を上げることができた。
長篠ダムという人造物が、長篠の大滝という景勝地に変わり、スローシャッターによってアートに昇華されたかのよう。
ハイリスク・ハイリターン、滑落の危険性と最高の被写体の撮影場所だな、長篠ダムは。
滝は主題として、それ以外の副題(サンセットとか新緑や紅葉とか)がないし、撮影できる滝の角度も限られるから、次また訪れても今日の写真と同じパターンでしか撮れないだろう。
一回きりの真剣勝負で、僕はまずまずの成果を上げることができたと満足しておこう。
2020年5月28日撮影
乳岩峡のトレッキングコース自体は短く、1時間もあれば回ることができるが、
- 乳岩の登り(急角度の鉄ハシゴ)は、誰にでも不意の転落事故の可能性があるので用心&ちゃんとした運動靴を
- 一方で、通天門からの景色は唯一無二、広角レンズ持参で(35mm換算20mm台で、スマホなら合格)
- 総合的には素晴らしい場所なので訪問価値あり、散歩ではなく軽登山なので甘く考えないこと
「ちいわきょう」と読む乳岩峡は、愛知県新城市の山中にあって、まさに奥三河という名前が相応しい。
なんとか峡、という場所は気軽なお散歩気分で歩けるところがあるが、乳岩峡は荒々しいトレイルコースになっている秘境の地。
駐車場から歩き出し始めは、岩石の上になって雨の日なら要注意だ。
すぐに乳岩峡ブルー的な流れが目に入ってくる、初見はちょっと驚くレベル。
無意味と分かっていても、水の流れ=スローシャッター撮影したくなるのが夜景好きカメラマンの性分。
NDフィルターを使って30秒のスローシャッター写真にしてみたら、なんだかよく分からない写真(上下のもの)になった。
岩にピントは合っているのでピンボケではないのだが、乳岩峡ブルー的な部分がバグのようになってしまった。
その先の遊歩道は、乳岩川沿いの深い森の中を通っている。
橋を越えて、わずかに登りが始まって、乳岩の足元に来たなと感じる。
そこからがミニ・ロッククライミングのような試練の始まりだ。
幾つも鉄ハシゴが設置されているのを上るのだが、まず階段自体が急角度で疲れる。
下の写真のようなものが何段も連続して前に現れるのだ!
最大のポイントは、足の力だけでは登れないので両手でしっかり階段の手すりを握る必要性がある。
恐怖なのは何らかの不注意で手か足を滑らそうものなら、滑落のリスクがあるということ。
何しろ短い距離で一気に通天門へ上るから、落ちたら後ろの人を巻き添えにしながらの大事故になる。
怖がらせたが、そのぐらい真剣に登っていかないと危ない場所が通天門の登りだ。
登り切った先からは、絶景を楽しむ番だ。
通天門の頂上へは上がれないが、この天然の橋はどこかで見たことがあるような。
そうだ、アメリカ・ケンタッキー州のナチュラルブリッジだ、と閃いたが、そんなローカルな場所は誰もご存じないか。
トレイルはそこから若干下っていくが、下り道には危険箇所はない。
しばらく行くと、巨石の中に吸い込まれていくような道。
こここそが「乳岩鍾乳洞」へ分岐があるが、はっきりした案内は出ていないので逃してはならない!
また登りの階段(危険ではない)が続いて、ちょっとイヤにもなるが登り切ったところが乳岩峡最大の見どころだ。
写真家目線で語ると、乳岩鍾乳洞のシルエットと抜けた先の緑の絶景全体を映すには、広角レンズが必要。
この写真は階段前の観音様前から撮った28mm(フルサイズ35mm換算)だが、28mmでギリギリなので20mm-24mm相当のレンズがないと全体が撮れない。
まぁ、i-Phoneなどのスマートフォンならそもそも広角レンズだから合格。
この鍾乳洞からの光景が、乳岩峡を代表する写真になって各種パンフレットになっているね。
その価値の確かさは間違いなく、他にはない素晴らしい景色だった。
(中央の小さな石たちの上には、水が流れています、透明に見えるけど)
それからは普通に来た道を下って駐車場へと。
奥三河・新城市には(無名な市にもかかわらず←失礼を許して)幾つも見所があることが分かっていたが、乳岩峡はそのトップ戦線へと躍り出た。
そこそこ手軽に車でアクセスできて、まぁまぁ用心して歩き登れば、目覚ましい絶景を見ることができる。
そんな乳岩峡を知ることができて幸せな出逢いになった。
2020年5月28日撮影
蔦の淵、という滝が愛知県北設楽郡の東栄町にある。
通称は「奥三河のナイアガラの滝」、ネーミングのミスマッチ具合がたまらない。
スローシャッター好きの私は、NDフィルターを使用して日中長秒露光写真で撮ってみた。
滝を普通の手持ち撮影するつもりはないのだ、滝といえばスローシャッター。
本当は夕方に来れればもっと綺麗に獲れるのだが、予定の都合で真昼間。
でも30秒の長秒露出で撮れば、あたかも非現実の世界に。
どうやら竜神伝説があるという蔦の淵だから、リアルさを削いだ写真が面白い。
蔦の淵の右側駐車場に車を止めて、案内通りに川まで階段を降りる。
そこからは石と草木と小川を歩くワイルドな道になるから、ちゃんと歩ける靴にしよう。
目の前に蔦の淵が現れてからも悩んで、もっと左側から撮ろうか、どの角度が良いかと模索。
目の前の滝壺というか川も、川歩きできる靴があれば入っていって、流れは弱いから三脚立ててスローシャッターも可能だな、とか考えてしまう。
結局、85mm相当(35mm換算)の中望遠域で、蔦の淵の真ん中前から撮っていた。
フワッと優しい流れのイメージの滝だな、蔦の淵。
それでも横幅で70m、落差10mもあるから大きな滝なのだが、2年前に見たナイアガラの滝のゴリゴリした荒々しさはそう感じなかった。
軟水の優しい流れ、そんなものを蔦の淵を感じた。
普通の観光目的なら「蔦の淵 展望台」、とうえい温泉花まつりの湯の方からだとサンダル履きでも蔦の淵を見渡すことができる。
大千瀬川、とりわけ蔦の淵の下流は渓流釣りの名所なのだろう、釣り師がいっぱい。
そのシーンも何故だが日中スローシャッターで切り撮ると面白い写真になった。
木々の緑も相まって、なんとも爽やかな川遊びの一枚だと思った。
2015年3月撮影
阿寺の七滝の長秒露光写真
厳しい天候でこそ、面白い写真が撮れるというもの。
阿寺の七滝を、大雨の中で写真撮影するという挑戦。
肉眼に写る世界に興味はないから、NDフィルターを使って長秒露光、水の流れを滑らかに。
大雨の最中だ、普段は見ることができない茶色、土石流の色合いを活かしてみた。
滝壺を舞台に見立て、白い水の流れを飛び出してきた演者。黒と白の対比が好き。
シャッタースピードを8,000/1秒にすると、激流ですら止まった水滴に。これも肉眼にはない世界。
天気の悪さ、陽が差し込まない朝の時間帯、わざと彩度を落として暗く撮る、阿寺の七滝の写真。
愛知県新城市の阿寺川、「阿寺の七滝」は日本の滝100選のひとつ。
川売の梅を撮りに行く前に寄った阿寺の七滝、朝の特長的な茶色を強調してみたかった。