季節を超越した光景だ、自然を無視した場面だ、小原四季桜の紅葉写真。
秋の紅葉と春の桜が、同時に咲いているという矛盾・不思議。
合成写真のようで、紛れもなく自然の写真、人工的に作った風景でもない。
おかしい、そんな天変地異が起こるわけがない?
説明を受けてもにわかに信じられるものではない、秋と春は表裏の関係であって左右とか上下の関係ではない。
愛知県豊田市小原地区の小原四季桜は、毎年そのミステリーが起こる。
秋にも春にも咲く桜、なんと秋は紅葉の時期と重なる。
自然のいたずら、まさかの春秋の美のコラボ。
この珍しさは世界でも、日本でもレアな部類に入る。
かなりの田舎、愛知県豊田市は大手自動車メーカーのお膝元だから誰でも知っていようが、
その中心地からずいぶん離れた田舎・小原地区に、珍しい光景が毎年生まれるなんて。
この妙な美しさを題材に、「狂い咲き」という小説を僕は書きました。
その小説に四季桜の写真を散りばめたくて、薬師寺付近の川見四季桜の里にカメラ持参で来た。
何度か見ている小原四季桜だから驚かない。
だが、冷静になると紅葉と桜が同時に、って変ね。
確か、随分前だがこの光景を初めて見たときは驚いたっけ、やっぱり自分の目を疑ったっけ。
相反するものが同居していて、そこの矛盾はなく、逆に美しさがある。
その微妙なバランスをとっているものが、小原四季桜だと僕は知っている。
他所では見ることができないだろう光景、小原の四季桜と紅葉。
運転中、ふと道路脇に桜が咲いているのを見つけると驚くよ、秋なのに。
小原地区に四季桜の場所は幾つかあるが、薬師寺の川見四季桜の里がおすすめ。
日中に来ると駐車場に入るのに渋滞が発生しているから、まぁ朝早い時間がいいね、光線も強く出ているから明るく撮れるし。
その目で確かめてみて、桜と紅葉が重なる小原四季桜の光景を。
東国から訪ねてきた父母が新聞の切れ端を持って、「ここ行ってみたい」と。
豊田市の小原四季桜と紅葉の紹介が全国版の新聞に、あぁ、確かに小原四季桜と紅葉は稀有な存在だ。
香嵐渓を見た後で、小原・川見四季桜の里へ、駐車場の少なさから渋滞が発生。
「四季桜は数見てきたけど、こんなに数が多く集中してあるのは初めて」と言った父、期待を裏切らない小原四季桜の光景。
1,200本の四季桜がある川見四季桜の里は素晴らしいが、途中の道路沿いにちらほら見る四季桜+紅葉も風情があった。
しかしどうして春と秋のスター同士が同時期に競演するのだろう、自然の摂理だとしても不思議・不可解。
どちらが主役?脇役? 決まっていないから今も競争中?
世にも珍しい風景、桜と紅葉が同時にピークを迎える愛知県豊田市小原地区、11月末のこと。