原油価格高騰、国際カルテルと市場原理も成立しない

原油生産量の上位国は、2004年時点で

ロシア・サウジアラビア・アメリカ・イラン・中国・メキシコ・ノルウェー・ベネズエラ・カナダ・UAEである。

1996年では

サウジアラビア・ソ連・アメリカ・イラン・中国・ノルウェー・ベネズエラ・メキシコ・イギリス

であったので、ここ10年ではほぼ同じと言っていいだろう。

原油を輸出している上位国は、

サウジアラビア・ロシア・ノルウェー・ナイジェリア・イラン・メキシコ・UAE・ベネズエラ・カナダ・イラク・UAEである。

反対に原油を輸入している上位国は、

アメリカ・日本・中国・韓国・ドイツ・インド・イタリア・フランス・イギリス・オランダである。

原油埋蔵量では中東に世界の半分以上(57.5%)が分布していると言われており、

原油生産量も全世界の31%を占める中東ではあるが、

イラク戦争やサウジアラビアでのテロという政情不安定が付きまとい、

原油供給途絶が懸念されるため現在では中東依存体制からの脱却が世界中で進められている。

中東と北アフリカに広がる世界最大の産油地の他には、

アメリカ南部の州・メキシコ・ベネズエラのメキシコ湾・カリブ海一帯という産油地があり、

この2大地域に世界の石油が偏在していることになる。

中東以外の産油国を見ても最大の生産国であるロシアでも政府と石油会社ユコスの間で騒動が起こるなど問題があるし、

アメリカも中国も原油消費量は自国での生産量を上回っている状態だ。

このように消費する輸入国は自国では原油を生産できないヨーロッパと極東アジアが中心であり、

原油を生産できる場所は不安定な地域にかたまっている。

このことがエネルギーを石油に依存せざるを得ない輸入国の、石油の安定供給への不安を顕在化させ、

発展途上国の原油使用量増加を見越した投機筋が石油の価格を吊り上げ、

結果として世界中に原油安定確保の競争を引き起こしている状況を引き起こしている。

1970年初めまでは7大メジャー、セブンシスターズと呼ばれた欧米の国際石油会社によって非公然の国際カルテルが作られ、

当時の原油全生産量で70%のシェアを握っていた彼らが利益を独占する形で原油価格や生産量を決定していた。

1976年にサウジアラビアのアラムコが国有化されるなど、1960-70年代には中東各国で資源ナショナリズムが台頭し、

原油産業はメジャーの支配からその国の資源として国有化されていった。

そしてサウジアラビアやベネズエラら産油国を中心に作られたOPECが生産量と価格を独占してゆく。

石油危機やイラン・イラク戦争という不安定な中東紛争を機に市場混乱を上手く利用して

OPECは7年間で11倍の価格に高騰させたりもしたが、

それが逆に石油需要減少と値段暴落を招いてしまったことから、OPECは自身での値段操作を放棄した。

もっとも、OPEC自体が世界の40%の生産量しかなかったのであるから価格カルテルを作り上げることにも限界があった。

サウジアラビアが宣言した人為的な大幅な価格引き上げは代替エネルギーの導入や消費減退という反動をよび、

長期的には自らの首を絞めるに等しいという発言にも読み取ることができる通り、OPECは価格決定よりも

安定供給と安定利益の確保を目的とするようになったのだ。

現在は経済の自由化・市場化が中心になっていることから、市場につきものの価格変動がある。

ニューヨークのWTI原油・ロンドンのブレント原油、

アジアではシンガポールや東京のドバイ原油の原油先物市場での取引価格が世界の原油価格を決めているのだ。

市場では原油関係者以外にも商社や金融機関・投機家の資本が多大に含まれ、

マネーゲーム化しているため他の商品市場・金融市場とも連動しているし、

市場に委ねられているので誰か個人が意図的に原油価格をコントロールすることはできなくなっているのである。

プライスリーダーが存在しないということが現在の国際石油市場の重要な特徴となっている。

2007年に起きた原油価格の高騰にはいくつかの要因がある。

ひとつはイラク戦争の影響であって、

石油埋蔵量第2位のイラクの政情不安定が中東の石油供給を低下させてしまい、

BRICsらの経済発展に伴って石油の需要は高まっていたはずなのに

供給が低下したものだから、価格だけが釣り上がってしまったのである。

また、原油価格決定にはニューヨークのWTI原油の価格が強い影響力を持つが、

アメリカ南部のルイジアナ州を襲ったハリケーン・カトリーナによって

ルイジアナ州一帯に数多くある石油施設が大打撃を受けてしまったことは

アメリカの石油供給を停滞させてしまい、ニューヨークのWTI原油を高騰させてしまったのだ。

サブプライムローンの破綻によってサブプライムローン関係への投資を見切った投機筋が、

稼ぎやすいと言われていた石油関係に投資をつぎこんだ。

原油価格は需要と供給のバランスで値段が決まるため、需要が高まることで価格だけが高騰していったのである。

マネーゲーム的な投機によって価格が左右されてしまうのが現在の原油。

昔はメジャーやOPECに利権が流れていたが、

現在は富裕層へ更にお金を儲けさせるための道具に原油がなってしまっているという印象を受ける。

エネルギーは誰のもの?全人類が等しくその利便性や富を享受するための仕組みには、

国際カルテルも市場原理も成り得なかったようだ。

原油は人々に便利な生活を与えてくれたが、富の面では平等に分配ができずに

富者の喰い物にされたままで石油は遠い将来に枯渇してゆくように私は思う。

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まつきよ

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