ユニクロ/GU ありません
「でも、ららぽーと愛知東郷にユニクロもジーユーも入っていないの。
先行してオープンしたプライムツリー赤池に権利?を取られたのかな、
イオンモール三好からUNIQLOが撤退したときは、ららぽーと東郷にユニクロできるのなって思ったけど。
3km離れたプライムツリー赤池に行けば、ユニクロとGU両方入っているから」
彼女はそう言うと寂しそうな表情を見せた。
全部入り、なんでも揃っているららぽーと東郷、ハイブランド〜ミドルブランドの店舗を充実させたかったのかな、
マクドナルドやユニクロという庶民の売れ筋をあえて入れずに、イオンとの差別化を計った結果とも。
私がこんなボヤキをするのも理由があって、ららぽーと沼津には、ユニクロもGUも入っている。
なんならマクドナルドまで入っているのだから、同じららぽーとだからと、愛知東郷にもUNIQLOとジーユーを期待してしまった。
全く一緒なはずがないよね、契約問題とか、近くの商業施設内にある店舗との関係とかあるのでしょうから。
「勝算が整ったあの日、ららぽーと東郷のオープン実現した、2020年9月14日は記念すべきオープン日になった」
手に持つタブレットに尾張・西三河の地図を表示させると、ケンは何カ所かを指差していく。
「東にアイモール三好・イオンスタイル豊田、西にイオンモール大高、南にイオンモール岡崎、
北にイオンモール長久手と、四方を強豪イオンモール勢に囲まれている。
最難敵は、4kmの距離へ2017年11月に出店したイトーヨーカドー・アリオブランドの旗艦店・プライムツリー赤池。
名古屋市内には同じららぽーとの、名古屋みなとアクルスが2018年9月にオープンしたね、車で30分の位置関係だ。
アピタ系のヒルズウォーク徳重ガーデンズだって西に6km」
(周囲をぐるりと強豪相手に固められた死地にオープンする、ららぽーと東郷)
(ららぽーと東郷 工事中の様子 2020年6月28日撮影)
分かっていたけど。
そう、分かってはいたけど、すごい後発のショッピングモールね、ららぽーと東郷って。
ライバル各社の強力なショッピングモール包囲網の真っ只中に、新しく陣を構えたってこと。
先行者利益がまるで見込めなくとも、最新スタイルにアップデートして乗り込むことで、収益を獲得する確証があるということなのでしょう。
はたまた、ららぽーと東郷単体の収益だけを考えているのではなく、名古屋みなとアクルスも合わせた2店舗で収支や効果を計画しているのかしら。
イオングループが多くのシェアを取っている東海地方に、
ららぽーとの運営会社・三井不動産が商業施設を展開させようと虎視淡々と狙う中、
ある意味、利益度外視の新規参入プロジェクトと考えても良いのかな。
更に問題提起するのなら、ららぽーと東郷がオープンした後も、
イオンモール土岐や、アウトレット岡崎本宿など、
東海地方では複数案件の大型商業施設が新設開業する予定になっている。
特筆すべきは、まだまだイオンモールの攻勢が続くということ。
それも、特徴ある旗艦店クラスをオープンさせる計画なのだから、
ららぽーと東郷とのお客様争奪戦は激しいものになっていく予感がするの。
数年先の商業施設オープン計画
2021年秋 オープン予定 | イオンモール則武新町 | 名古屋駅近く |
2022年 オープン予定 | イオンモール土岐 | 岐阜県土岐市 |
2022年 オープン予定 | イオンモール豊川 | 愛知県豊川市 |
数年以内 | アウトレット岡崎本宿 (三井不動産系列) | 岡崎市本宿地区 |
ケンが言う勝算をららぽーとがどう考えているのか、素人の私にはなかなか思いつかなかった。
見切り発車でオープンするような、ららぽーと東郷の事業計画ではないのでしょう。
信じていても、未来の明るい集客プランが私には見えてこない。
でも現実に、三井ショッピングパークは、「ららぽーと愛知東郷」の2020年9月14日のオープンを予告した。
それは2020年2月13日のこと、オープンの半年前の宣言になるのね。
プレオープンは9月8日・9日・10日の3日間、
三井ショッピングパークカード会員にはEメールでプレオープンのインビテーションが送られた。
新型コロナウイルス騒動の前のことだから、尋常ではない経済環境変化によって計画変更が出てくるのは仕方ないと思っている。
いくら建設工事が順調で、建物の外装としては完成したとしても、肝心のテナントの準備が整わないかもしれない、働くスタッフが集まらないかもしれない。
そもそもショッピング需要が目減りしたコロナウィルス禍を受けて、
全体もしくは一部のオープン計画変更が生じても何の不思議もないよ。
今のところはオープン前提でお話を考えていこう。
プレオープン時の写真 2020年9月
駐車場に何時間停めても終日完全無料だし、立体駐車場に停められる台数は多い。
オープン当初はもちろん混雑はあったけど、しばらくしても周辺道路に耐え切れないぐらいの道路渋滞は起きていない。
だから、別に駐車スペース確保戦の熾烈な争いが起きているわけではない、ららぽーと東郷愛知の駐車場事情。
「店舗面積 63,900m2 は十分広いとは言え、
びっくりするぐらいの巨大な店舗スペースを確保したわけではない」
目を閉じて、口ずさみ出したケン。
「東郷町民の雇用・消費・楽しみに貢献しなくてはいけないという足枷もある」
うっ、なんか大変。責任は商売だけじゃないの?
「まさかの新型コロナウイルスによる経済停滞・需要減は、もう誰にも止められない」
それを言われると不安しかないでしょ。
「人口5万人の東郷町の内需だけでは全く無理。
名古屋市を中心に外部からの訪問客を取り込もうにも、キッザニア名古屋という切り札は、
ららぽーと名古屋みなとアクルスに2021年以降に入ることが決まっている。
あっ、それも延期されたな、2021年以降になったよ、キッザニア名古屋は」
ちょっとわたし、頭痛くなってきたかも。不利な材料。
駐車場足りる? ライバル商業施設が周辺に点在してるから集中しない?
駐車場台数 | 店舗数 | |
ららぽーと東郷 | 3,900台 | 210店舗 |
ららぽーと名古屋アクルス | 3,000台 | 217店舗 |
ららぽーと沼津 | 3,600台 | 214店舗 |
赤池プライムツリー | 2,900台 | 180店舗 |
mozoワンダランド(イオンモール) | 5,140台 | 230店舗 |
「言ったろう? 勝算が整った時にららぽーと東郷はオープンするんだよ!」
あれ、ケン? これまでの文脈のどこにそんな強気があったの?
「よくぞ、ららぽーとを選んでくださいました、東郷町さん。
自社でスーパーマーケットと衣料品・日用品を販売しないららぽーとは、
収益率の面で期待できる」
おや? なんか風向き変わってきたぞ。
「ライバルとの差別化、何かに特化すること、それができる強みを持つ商業施設がららぽーと東郷!」
なんだか、わたしは両手に旗を持ち、振りたい気分になってきた!
「常識を捨てる!何かで突き抜ける!商売ならば収益が出る部門だけに集中する!」
きゃー、ららぽーと東郷さま!
「ららぽーと東郷って、大家さんなんだ!
箱を作り客を誘致した後、ららぽーと内の各店舗から貰うテナント料で商業的成功は間違いなし!」
えっ? なんか地味なこと言ってる。今度はテンションだだ下がり。。。
「だから安定的な賃料を貰えそうな優良小売店舗と合意できた時が、ららぽーと東郷オープンの時!」
おえっ、まるで夢のない話にすり替わっている。
「ららぽーとが自社で優れた物を作って売るビジネスモデルではないから、
スターバックスやユニクロに代表される人気小売店、
あるいはフードコートのパンダエクスプレスのような珍しいお店を、
ららぽーと東郷内にいかに誘致できるかどうかでららぽーと東郷の価値が固まっていく」
そういうこと? テナントビジネスだから、オープン前に勝ち負けが見えそうってことね。
まぁ、ユニクロが入らなかったことは、ららぽーと東郷の数少ないガッカリ点だったな。
イオン | ユニー (アピタ) | 三井不動産 (ららぽーと) | セブン&アイ (イトーヨーカドー) | |
総合スーパー事業 (スーパー、衣料品) の利益率 | ほぼ0% | ほぼ0% | そもそも やってない | ほぼ0% |
全社での稼ぎ頭 | 金融、不動産 | コンビニ | 不動産 | コンビニ |
ららぽーとブランドは三井不動産が運営(2018年度のデータ抜粋)
純利益 ららぽーと単体ではなく 三井不動産の会社全体ね | 1,680億円(ビル/住宅等不動産が大半) →経営の幅が広い優良会社! イオングループは236億円 |
商業施設での売り上げ比率 | ららぽーと 54% アウトレット 27% →主力はららぽーと! |
ららぽーとの強み
「ららぽーとの方が、イオンモールよりマイナーな商業施設だ、なんて言うのは素人だね!それも相当な知識不足だね!」
はいはい、分かったよ。
「三井不動産の総合力は抜群。ららぽーと と対峙したら、どんな商業施設だって無力なもの」
数字で語れば、ケン様のおっしゃる通り。
「勝てる要素を積み上げた時。そこに勝敗のキーがあるのさ」
そう言ってケンは独唱を終えた。
どうやら、ケンの頭の中では、ららぽーと東郷の成功が鮮明になっているよう。
言っていることの半分ぐらいは意味が分からなかったし、面白くもなかったけど、
これは、ららぽーと東郷のオープンをお祝いする明るい歌だったよね。
お願い、せめてそう言ってよ、ケン!
ららぽーと東郷の誘致背景
なるほど、ららぽーと東郷の誘致背景が分かるにつれ、その企画力に脱帽。
【背景】
・東郷町内に楽しい施設がなく、住民は町外で学び、働き、買い物する
・東郷町は平和な郊外住宅地だが、住宅地のみとして機能
【問題】
・このままでは魅力的な商業施設がある近隣市に人口が移っていき、東郷町は先細りに
【対策】
・目玉になる商業施設と、最新の住宅街を創り、東郷町内に人を誘致する
ららぽーと東郷は町の都市企画セクションの発案と思われるものの、
この東郷町セントラル計画が予定地の地権者たちにより発起人会を立ち上げられたところに注目。
平和な町の雰囲気を維持したいだけなら、都市計画に反対するのが常道なのに、
あえてその逆、土地所有者からの積極的な企画という形を取っているところに、本気さを感じ取る。
実際、東郷町付近の商業施設の充実ぶりには目を見張るものがある。
みよし市のアイモール三好、日進市赤池の赤池アリオ、長久手市のイオンモール長久手、
名古屋市緑区にはイオンモール大高とヒルズウォーク徳重、岡崎市のイオンモール岡崎。
愛知県内はメガサイズのイオンモールが林立し、小規模のショッピングセンターでは太刀打ちできない。
ところがららぽーと東郷は、それらのライバルモールとは一線を引いた独自性を打ち出している。
①敷地面積95,000m2と、メガモール級の広さを確保!
②周辺がイオンモールばかりだから、あえて差別化を図り、ららぽーと東郷を誘致!
この2点だけで勝算のある仕掛けができているのがららぽーと東郷。
モノ珍しさで、ららぽーと東郷には町外からの来訪者が続々と。
これほど大きな商業施設ならば、地元からの新規雇用が数百人は見込まれる。
日々の買い物だって、もう近郊まで車で出ていく必要はなくなり、東郷町内で消費かつ満足できる。
外需を稼ぎ、内需を拡大する、ららぽーと東郷が東郷町へ落とすお金・経済効果は莫大。
そんな東郷町だから、住み着きたくなる人も増えるだろう。
隣接する土地にはスマートハウスという近代的な計画に沿った住宅街を予定しているのだし。
トータルすると立派な都市計画だよ、ららぽーと東郷。
心配なのは交通量の集中、近辺の道路渋滞をどうさばくか、そこが勝負ドコロ。
買い物客たちの騒音が夜まで残るのも気になるだろう。
東郷町自体は住宅街の意味合いが強いから、静けさは大事。
それから、立ち退きを交渉して決裂するだろう方々への対応のこともある。
課題はあれど、2020年9月14日オープンを発表しているららぽーと東郷だ、まだ時間はある。
僕はららぽーと東郷の躍進を心待ちにしているよ。
そうなんです、ららぽーと東郷にはユニクロもGUも入っていない。
そのしばらく前に開業したプライムツリー赤池さんにUNIQLO・ジーユーがそろって店舗構えている関係で。
巨大な商業施設には必ずユニクロ・GUがあると信じていたけど、契約上の制約みたいのがきっとあるのね。
もっと遡れば三好イオンモール(i-MALL)に入っていたユニクロ、それがプライムツリー赤池に移転した。
そこから更にららぽーと東郷へ引っ越しするのは、きっと契約や体裁の関係で難しいのでしょうね。
一番小さな町に、周辺一番のショッピングセンター・ららぽーと東郷の開業を!
逆転の発想、他所との差別化の極み。
ららぽーと東郷の予定スペック情報を見ると、それは輝かしく見える。
個性を立てて、生き残ることに本気なのだ、ららぽーと東郷も、東郷町も。
商業施設 | 店舗数 | 敷地面積 | 駐車台数 | オープン | |
東郷町 | ららぽーと東郷 | 210 多い! | 89,000m2 めちゃ広い! | 3,900 多い! | 2020/9 最新! |
日進市 | プライムツリー赤池 | 180 | 44,700m2 | 2,900 | 2017/11 |
長久手市 | イオンモール長久手 | 200 | 46,000m2 | 2,600 | 2016/12 |
みよし市 | アイ・モール三好 | 70 | 40,700m2 | 2,500 | 2000/10 |
人口4万3千人の愛知県愛知郡東郷町は、
市制移行に必要な人口5万人に達していない。
近隣のみよし市・豊明市・長久手市は愛知郡から市制へ移ったが、唯一、東郷町は愛知郡のまま。
× 愛知県 東郷市
◯ 愛知県 愛知郡 東郷町
町の面積も周辺の自治体では最も小さい。
トヨタ自動車関連の大きな工場もなく、電車の駅もなく、ただ平和なベットタウン。
それはそれで個性かもしれないが、図表にすると逆に目立つ。
人口 (千人) | 面積 (km2) | ショッピングモール | |
豊田市 | 425 | 918 | △ イオンモール他 |
刈谷市 | 152 | 50 | △ イオンモール他 |
日進市 | 90 | 34 | 〇 プライムツリー赤池 |
豊明市 | 69 | 23 | × |
みよし市 | 62 | 32 | △ イオンモール他 |
長久手市 | 60 | 21 | 〇 イオンモール、イケア |
東郷町 | 43 | 18 | × |
「隣接市の繁栄に依存する町」
と揶揄される立ち位置を変容しようと立ち上がったのが、東郷セントラル地区構想。
住宅街・バスターミナル・公園の新設などが計画されているが、目玉は ららぽーと東郷の開業だ。
全て逆手を取れば良い。
落差をインパクトとして、極端な演出をすれば良い。
周辺は地方の町そのものなのに、急にあらわれる最先端のショッピングセンター・ららぽーと東郷
その意外性を話題に変えて、その両立性を地方自治体活性化のお手本として、
ららぽーと東郷は東郷町の広告塔と小売業主役を兼ねれば良い。
~ららぽーと東郷のこれまで~
2013年7月 | ららぽーと東郷(三井不動産)を東郷町が事業者として決定 (次点がイオンモール、次々点がユニー) |
2015年5月 | 三井不動産が、2019年ららぽーと東郷オープンと発表 |
2017年11月 | 三井不動産が、ららぽーと東郷オープン時期「未定」に変更 |
2019年3月 | 着工 |
2020年9月 | オープン予定 |
ららぽーと東郷の経済効果が出て、数年後には人口が増え、市になれるとしても、
唯一の愛知郡の町としてずっと愛知郡東郷町の名を続ける?
開業前、インターネットでの仮称が「ららぽーと愛知東郷町」だったことを考えると、
「愛知郡」の名前は外されたけど、「東郷」ではなく「東郷町」なので市制に移行することが目的ではないとお見受けする。
お美しい姿勢であろう。
平城京の時代から「尾張国愛知郡」の地名があったこと、知っている人は知っている。
その歴史を継いでいって欲しいという想いだってある。
豊明 | 1972年に、愛知郡から豊明市へ |
日進 | 1994年に、愛知郡から日進市へ |
長久手 | 2012年に、愛知郡から長久手市へ |
東郷 | 2020年現在、唯一の愛知郡 |
取り残された「愛知郡」と「町」を個性へ転換、逆転の発想ね!
田舎にあるららぽーと、という風変わりな個性?
小さいのに大きい、その裏腹こそがららぽーと東郷ならではのオリジナリティ。
2020年9月に開業する ららぽーと東郷、
他にはない魅力を備えて、ららぽーと東郷は競合ショッピングモールを畏怖させる。
東京オリンピックの熱が冷めやらぬその時期に、
衝撃の登場をしてくるだろう ららぽーと東郷を、私は待ちわびているよ。