2024年8月15日
ずっと記憶に残っているお盆の行事、奈良東大寺の万灯供養会が幻想的だったこと。
11年ぶりに再訪、日本の伝統行事の中でも指折りの美しいもの、今日こそちゃんとした写真に残してみたいと意気込んで。
三脚持ち込み禁止なのは当たり前か、しかし手持ち撮影でもISO感度を上げればぶれは防げる。
加えてこの日はF1.2の明るい単焦点レンズで勝負をかけにきた、全て50mm標準レンズ一本で撮影した。
観相窓から真っ直ぐ奈良の大仏様のお顔を見れるベスト撮影スポット、
それは中門の階段上から大仏殿を真っ直ぐ見渡す一帯なのだが、警備の方が「写真は階段降りて撮ってね」を連呼。
ものすごい人が夜間に訪れるから危険回避のルールということは分かる。
分かるけど、最良の写真撮影場所だから、カメラマン的には残念さ。
仕方なしにルールの中で撮影できるスポットを探してウロウロ歩き回る、試し撮りしてみる。
夜の奈良の大仏様、変わらずのお顔、手のひらで包んだお花。
闇夜に浮かぶ大仏殿と万の灯籠、こんな美しい場面は他に出会ったことがありません。
中門の東端、大仏殿リフレクションが直線で撮れる写真スポットがあった、大仏様のお顔は半分しか入らないけど。
21:30の終わりの時間に近付くと人の数が減って、撮影しやすくなった。
それでも階段の上からは撮影は許可されないから、周りの人もなんとか工夫して撮影。
カメラは触らず、階段の上からは肉眼でこの万灯供養会の光景を焼き付ける。
24mmの広角レンズも持っていったけど、結局使わずに50mmの標準レンズだけ。
まぁ70-200mmぐらいの望遠レンズがあっても面白かったかな。
とにかく明るいレンズでブレ防止が必要だね、一脚も三脚も利用禁止だから。
人の顔や灯籠に書かれたお名前をはっきり撮らないようにF値を調整、ボケでうまくかわす。
通路から灯籠の向こうに手を伸ばして写真を撮る、なんとか奈良の大仏様のお顔が正面に映る。
本来は上の写真のように人の姿で埋まっていた、これもまた人間らしくて良い写真ですが。
大仏殿の足元を飾ってくれる灯籠、ちょっとした工夫が最高のセンスを生んだ。
こんな場で供養されたら、供養される側も満足なのかな、それでもまだ煩悩は残るのかな。
大仏殿側から中門側を逆に見渡す、あの門の上から本当は撮影したいのですが。
時代と共にルール整備が進んで、今では階段の上からはシャッター切れません、仕方ないこと。
幻想的な灯りの中で、大仏殿へと歩いていく人たち。
どうにかして傑作写真を撮影したかったが、これ!という一枚は生まれなかった。
でも全体的にはなんとか合格ラインの写真撮影ができたと思っているよ。
奈良東大寺の万灯供養会、私の敬意をどうか受け止めて。
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東大寺の万灯供養会の動画を、YouTubeにあげました!
2013年8月15日
あの東大寺の奈良の大仏様が、万の灯籠の灯りに包まれる瞬間があるらしい。
そう聞いた時から、僕の頭の中はそのイメージで一杯。
だって、僕の小説「奈良アートボックス」のクライマックスシーンと重なっているから。
そんなイベントがあるなら、写真に収め、「奈良アートボックス」と共演してもらいたい。
これは万難あっても参加するしかない、最初から心は決まっていた。
東大寺の万灯籠は年間1回だけのイベントで、お盆の8月15日に。
日中の暑さが消えた夜、東大寺南大門の参道には、詩的イベントを心待ちにした人たちが。
いざ、大仏殿前に着いたら、それはもう特別な光景。
奈良の大仏の大きさを愛して、東大寺を何度も訪れている僕もびっくりの変わりぶり。
万の灯籠に照らし出された東大寺、灯籠が並ぶ通路が際立って美しい。
良く見れば、開かれた観相窓の間から、奈良の大仏様が顔をお出しになっていた。
景色にも見とれたが、僕の目的は写真だから、すぐに我に返ってカメラを構える。
三脚は使用禁止だから、ISO感度を工夫して、なんとかブレないように撮影。
奈良の大仏様と夜にお会いするのは初めてのこと。
小説で書いた、松明に照らされた東大寺のイメージ、現実になった場所で大仏様と向き合う。
ここに踊り出す仏像がいれば、「奈良アートボックス」そのものが成立じゃないか。
夜に顔を見せた奈良の大仏様だけど、昼間の顔と何も変わらなかった。
もっと緩んだ表情を、あるいは思慮深いお顔を夜は見せると思っていたら、
いやいや、すでに境地を切り開いた方、いつも通りに決まっている。
奈良の大仏様の膝前で、お経を読み上げる僧たちの雰囲気が特別な夜を示していた。
後ろを向いて、大仏様の視点から、やってくる人たちを見渡す。
小説のイメージ通り、列を作り、盆踊りを始める人や仏像の姿があるじゃないか。
無数の灯籠に導かれて、人々が美しい光景を創り上げている。
その姿は、僕の小説の中だけにある空想ではなく、こうして現実世界にもあったのだ。
東大寺万灯供養会を肌で感じ、「奈良アートボックス」をより美しく書き足そうと思った。
小説と写真を融合、現実世界の美しさも加味して、もっと良いものに創り上げられる。
唯一無二、貴重な体験となりました、東大寺万灯供養会、美しい一夜の夢。