GMジャパンから出張者が来ていて、ミーティングが終わったすぐその足でNYに向かうと言う。
ついでだからデトロイトのメトロ空港まで車で送ってあげることにした。
NYからヨーロッパを回るというそのタフな出張者は
さすがに大きなスーツケースを持ってきていて、転がすだけでも一苦労だとボヤいていた。
だからわたしは驚かしてやろうと思った。
それは日本も良いけどわたしの住むアメリカだって利便性の面で結構頑張っている。
アレしかないなと思って彼の乗る航空会社を聞くとデルタだと言う。
マクナマラターミナルに車をつけて、車寄せでトランクからスーツケースを出すと
すぐ5mの距離にデルタのチェックインカウンターがある。
不思議そうにしているその出張者のスーツケースをそこに渡し、
セルフチェックイン機で一緒に手続きしてあげて、
持ち歩きたくないスーツケースにタグも貼ってもらいその場でチェックイン手続きが終わった。
もうあとはデルタ航空が自動でNYまで運んでくれて、
彼がデトロイト空港内でスーツケースを転がすこともない。
車から降りて5mでスーツケースがデルタ航空に渡った。
これが便利なカーブサイドチェックインってヤツなんだ。
出張者は驚いた様子だったよ。
ボーディングパスを一枚だけ握り締めて
「僕のスーツケースはもういいの?あとはNYで受け取ればいい?」
って聞いてくるからカーブサイドチェックインのことを説明してあげたら
「便利だ。なんかファーストクラスにでも乗るVIPになった気分だ」と喜んでくれた。
他の空港でもこのカーブサイドチェックインができるわけじゃないけど、
元々ノースウェスト航空がハブ空港として使っていて、
デルタとノースウェストが統合した後もデルタ航空+マクナマラターミナルなら
相性はばっちりで、最高のスマートサービスが提供できている。
どうだ、カーブサイドチェックインは。
こんなことができるのはロンドンやフランクフルトの空港で
国際線ファーストクラスを使うVIPぐらいかと思っていたけど、
デトロイトなら全ての空港利用者がカーブサイドチェックインを使えるんだよ。
車寄せから5mでチェックイン完了!
旅行はどんどん身近なものに、よりシンプルになってゆく。
カーブサイドチェックインは小さな工夫だよ、
でもこんな合理的なサービスが、旅行に絡む面倒を排除してくれるんだ。
アメリカならどの空港でも、車寄せ(カーブサイド)にチェックインカウンターがある。
正確に言えば、今時はウェブチェックインが主流だから、
カーブサイドの窓口は、チェックインカウンターというより、荷物預け窓口。
バゲージドロップと呼ばれるカウンターは、車をおりたすぐ横、2-3mの距離にある。
便利なものだと思うよ。
空港まで送ってくれた家族の車のトランクルームからスーツケースを出して、
すぐそこにある窓口に、スマートフォンのボーディングパスデータを見せ、
確認の後に、スーツケースをそこでドロップする。
重い荷物を手から離してしまったら、身軽に・気軽にターミナルを歩ける。
でもどこか、そうだ何か、日本人の僕たちには抵抗がある。
もっとちゃんとしたところ、空港ターミナルの奥まったところでチェックインしたいのだ。
道路脇でチェックイン、と言われて「それって大丈夫なの?」と
わけの分からない心配をしてしまうのも、日本人らしい部分なのではないか
「あっ、分かった!」と僕は声をあげてしまった。
何かひっかかっていたもの、それは日米の習慣の違いだった。
すなわち、ドライブスルーのサービスが発達して、良いものと認識されているアメリカ。
ファーストフードどころか、銀行のドライブスルー、
薬局やクリーニング、スーパーまでドライブスルーサービスがある。
それに普段から接しているアメリカの方であれば、
カーブサイドチェックインに何の抵抗もないのだろう。
つまり、カーブサイドチェックインは、
「ほぼドライブスルー・チェックイン」なのだ。
そう閃いたときから、私にはカーブサイドチェックインが自然に見えてきた。
歩きたくない、車の中から出たくない、そんな生活習慣が尖っていって形になったのが、
空港でのカーブサイドチェックイン、こんな説を私は唱えるよ。