奈良東大寺の大仏の大きさ、15mと聖武天皇

2023年2月1日

修学旅行生

「奈良の大仏って、どうしてあんなに大きいの?」

大きさの理由を聞かれて、正直、わたしは戸惑った。

「奈良の大仏の大きさは約15mです」って、いつもの仕事口調で答えるのは簡単だけど、

えっ、何故かって? 奈良の大仏の大きさの訳を知りたいってこと?

目の前の子たちの表情が真剣なのを見つけたからには、わたしはちゃんと答えてあげようと思った。

はっきりした理由があって、あそこまで巨大化した奈良の大仏なのだから。

奈良の大仏の大きさ写真

物事の不思議の理由を知りたがるのは自然なこと。

そうよね、奈良の大仏の大きさの理由なんて普通は見当もつかないよね。

「大きい方が目立って良いでしょ、分かりやすいし」っていう軽いノリであの大きさになっている奈良の大仏でもない。

そうだ、奈良観光のお土産として、この子たちに奈良の大仏の大きさの理由を持ち帰ってもらおう。

きっと学校内で広めてくれるし、いっそTwitterとかで拡散してくれれば良いけど。

奈良の観光案内所でバイトをしているわたし、

奈良公園の観光マップをもらいにきた修学旅行生の子たちに聞かれて、こう答えてあげたよ。

奈良の大仏の大きさは、

あの大仏を造った聖武天皇が、平和を祈る心をひときわ強く高く持っていたから、

みんなにそれを伝えるために、あんなに大きな大仏を造ったの

そう聞いた修学旅行生の子たちが「ほう、そういうこと?!」という表情をしてくれたのが、私には分かった。

 

日本の主な大仏さんたち

 

 像高場所
京の大仏
 (1973年に焼失)
19m京都府・方広寺
奈良の大仏
 (東大寺盧舎那仏像)
15m奈良県・東大寺
岐阜の大仏
 (釈迦如来坐像)
13m岐阜県・正法寺
鎌倉の大仏
 (阿弥陀如来坐像)
11m神奈川県・高徳院
兵庫の大仏
 (1944年に軍物資として回収)
11m兵庫県・能福寺
東京の大仏
 (阿弥陀如来坐像)
 8m東京都・乗蓮寺
高岡の大仏
 (阿弥陀如来坐像)
 7m富山県・大佛寺

 

 

「その昔ね、今から1,200年以上前、西暦750年頃のお話になるけど、

奈良の大仏が造られた時代は、病気や戦争が長く続いて、世の中が乱れていたの。

当時の天皇だった聖武天皇はそれをなんとかしたいと思っていてね、

お金にあまり余裕がなかったのに、

強い意志を持って東大寺にこんなに大きいサイズの奈良の大仏を造ることを決めた。

平和を願う気持ちを、多くの人たちにシンプルに分からせるには、

奈良の大仏が大きければ大きいほど伝わる、って思ったのが理由

 

像の高さ14.98m
頭部5.41m
目の長さ1.02m
耳の長さ2.54m
台座の高さ3.05m

 

そう言いながら彼ら彼女らに渡した東大寺・奈良の大仏の紹介パンフレットにはこんな数字が書かれてある。

ちょっとピンとこない書き方かもしれないけど、

聖武天皇風にシンプルに言えば「奈良の大仏の大きさは15m」って覚えて欲しい。

「それと、もうひとつ教えてあげる。

奈良の大仏が今もこうして東大寺に残っているのは、聖武天皇の思いを代々の日本人が理解して、

大事に引き継いできたってことね、それも1,200年間よ、1,200年!」

それで説明を終えると、わたしはにっこりと微笑んだ。

口元のアルカイック・スマイルで幸福感を出したつもり。

「聖武天皇が平和を願った気持ちが、奈良の大仏を15mまで大きくしたんですね!

そう言うとみんなは笑顔を見せた。

ありがとうございました、とお礼を言うと修学旅行生たちは奈良公園へと歩いて行った。

良かったよ、わたし。

端的に言うとそういうこと。

奈良の大仏の大きさの理由を上手く伝えられたって、

わたしは一人で喜んで、思わず東大寺の方向に合掌しちゃった。

彼ら彼女らをその大きさでびっくりさせてね、奈良の大仏さま。

それが、これからの平和の継続に繋がるって、わたしは信じているから。

奈良の大仏の大きさを、信じているから。