柳生街道をトレイルランニングで駆け抜ける、これに強いロマンを感じた。
昨年、京都一周トレイルを走って味わった甘美な何か、今年はそれを奈良で。
笠置駅～柳生～円成寺～奈良公園、合計34kmのロングトレイルランコースになった。
奈良駅から笠置駅まではJRを使って移動、１時間に１本程度のローカル線。
偶然にも学生さんたちの大型団体があって電車が満員状態、賑やかな車内の会話に活力をもらった気分。
笠置山寺までの笠置古道はいきなりの登り、雰囲気も古道・街道の感じ。
笠置山寺から柳生までは山道を駆け下りる、ここら辺で早速お腹が空いてきた。
早朝に愛知県を出て奈良まで車移動してきたが、奈良駅に着いたら電車の出発時間ギリギリでお握りさえ買えなかった。
エネルギー補給に最初から失敗するという恥ずかしい失態。
遂に見えてきた柳生の里には高揚したよ、あの剣豪たちの里、
何かあるのか、この美しい里山風景以外に。
旧柳生藩の陣屋跡、ここには何もなかった。
続いて旧柳生藩の家老屋敷、佇まいは当時のままだが、剣豪の香りがしてこない。
家老屋敷の庭先で風を感じていると平和を知った、殺人剣ではなく活人剣と言った柳生の心なのか。
今回帯同したカメラはNIKON1 V3、85mmの単焦点レンズ・1NIKKOR 32mm f/1.2。
風景を撮る画角としてはちょっと広いのだが、バックパック・Martin Wing Proにギリギリ収められるサイズのカメラ。
そして画質はDXフォーマットの一眼レフ並み、あるいはそれ以上に高画質、なんて素晴らしい相棒。
トレイルランニングに一眼レフの画質を求めて６年ぐらい経つが、いよいよ頂点・最高峰へ。
金はかかったが、今回載せている写真はどれも最高品質だ、RUNとPHOTOを同時に楽しむ僕の趣味。
一刀石を求めて歩く道すがら、茶畑の色合いに心を奪われ、カメラを向ける。
山中の天石立神社、このカメラとレンズで撮ると肉眼で見た景色よりもキレイに見える・・・。
柳生石舟斎が太刀を振りかざせば、こんな巨石だって割れ目ができる。一刀石の物語は夢がある。
今でも続く剣術道場、一度は体験してみたいなぁ、素人には敷居が高すぎるか。
芳徳寺は柳生家の菩提寺、砦の要素もあり、剣豪一族ならでは。
強い味が残っているわけではないが、ところどころに薄く感じた柳生の剣豪たち。
ほうそう地蔵から阪原峠を越えると、更にのんびりした山里、お藤井戸までの景色が特に美しい。
走ってくる僕を見て、壮年のハイカーが驚いて声をかけてきてくれた、なんだか光栄だった。
南明寺から夜支布山口神社までも、奈良らしい大らかな雰囲気。
今回も見どころではカメラに夢中になり、意図せぬ休憩時間が長く生まれる。
走りたいの？撮りたいの？どっちも楽しみたいの！
夜支布山口神社を少し過ぎた道で、コースアウトしてしまって道を戻る。
同じようにコースアウトしたハイカーに声をかけ、正しい道を教えてあげる。
良いことをした。
忍辱山・円成寺まではあと少し、山間の里を走り抜ける、心地よい時間ね。
円成寺まで走って18km（柳生で寄り道・朝ご飯休憩したけど）。
ここでは仏師運慶の二十歳の頃の作品・大日如来に向き合って、長めに時間をとる。
中間点となる円成寺ではお腹が空いたので親子丼をいただきつつ、後半をスタート。
名もない石仏が美しい、まだ表面の凹凸が風化していないから、若い石仏さんなのか。
円成寺からは山道、間もなく車道に合流、ちょっと進むと峠の茶屋に当たる。
これには驚いた、数百年前？に建てたと言われておかしくないぐらいの古めかしい建物が突然現れた。
モノ珍しさで店の中を覗き、おじいさんと会話。
峠の茶屋から奈良公園までは下り道、滝坂の道という石畳の古道が続く。
首切り地蔵さんは荒木又右衛門に試し斬りされた後が首に残っている？
春日大社の奥の森を歩いている感じがした、この滝坂の道はどことなく神秘の空気がする。
柳生街道は奈良公園に続いていた、道はいつしか終わり、春日大社や新薬師寺がある場所に出た。
あぁ、ここが奈良から柳生への道だったんだね、奈良から外に出る昔の街道を自分の足で歩きたかった僕。
春日大社の藤の花を見て、奈良公園を若草山へ歩いたが、もう５時を過ぎていて若草山頂へは行けず終い。
30kmほどのトレイルランニングで疲れていたが、今度は奈良公園の写真を撮ろうと歩き続ける。
東大寺二月堂近辺はいつも美しい、観光中心というより昔のままの佇まい。
朝から柳生街道を走ってきたが、ここで本日の夕陽が落ちる、非日常の金色にそまる東大寺一帯にうっとり。
石畳への反射はフォトジェニック、東大寺大仏殿の頭が見ている。
休憩がてら、この東大寺二月堂でしばらくボーッとしていた、贅沢な時間でした。
奈良の街道を走ってきた僕、いにしえの旅人たちと同じ気分になれているかな。
東大寺大仏殿付近は華々しい、文化と娯楽の雰囲気、奈良の中心地だなぁ。
剣豪たちが歩いた柳生街道を選んだ理由、それは剣豪たちの香りを感じたかったから。
でも現代にはもう剣豪たちはいないんだ、柳生街道は戦いをしなくてもよい幸せと平和に満ちていた。
街道ロマンをまといながら、トレイルランニングすることは楽しかった。
奈良へ入っていく滝坂の道、奈良公園・東大寺一帯に着けば都の華やかさ。
自分の五感、足で走って体験した柳生街道、最高の冒険だ。
興福寺の空色、今日という一日の冒険は一生忘れられない思い出。
合計34kmを走って歩いて、自分の足で通り過ぎた景色たち、カメラに投影して残した場面。
早朝からの150kmかけてJR奈良駅へ、そして今夜また150kmかけて愛知県へ戻る。
34kmもトレイルラン、写真は300枚ほど撮った、体力の限り一日を費やした柳生街道トレイルランニングでした。
円成寺（忍辱山）運慶の大日如来がある一眼レフ写真撮影スポット
仏師運慶に逢いたくて、彼が２５歳頃に創ったと言われる大日如来がある円成寺へ。
多宝塔のガラスに顔を近づけて、運慶の大日如来と出逢う。
円成寺本堂にも貴重な仏像があるよ、さすがは東大寺からすぐの距離のお寺。
境内は広くはないが、池のある庭園は広く、平安時代の浄土式庭園だとか。
数百年の時を超えて、若い頃の運慶に触れたひととき。
柳生街道沿いにある忍辱山・円成寺、奈良公園と剣豪の里・柳生の中間地。
古い仏像は色を失ったものが多いが、ここの大日如来坐像は今も色を失わず、運慶は健在。